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小説の虜

読書、小説執筆、日本語。

僕のバイブル

一冊の本が僕の人生に大きな影響を与えた。

 

その本とは、貴志祐介新世界より』。

 

新世界より (上)

新世界より (上)

 

 

 

幼いころは絵本を貪るように読んでいた記憶がある。小学生になっても、昼休みになるたびに図書館へ足を運んで、面白い本を探し回っていた。これが中学高校になると、読書より携帯ゲーム、あるいはネットが主体の生活になってしまうのだが、それでも多少は本を読んでいたし、「読書自体はそれなりに好きな人間」くらいは自称できると思う。

 

小学校時代の読書で一番記憶に残っているのは、原ゆたかかいけつゾロリ』シリーズと、エミリー・ロッダデルトラクエスト』シリーズ。特に後者のデルトラクエストシリーズは、そのらんらんと輝く表紙と、絵の不気味さも相まって、ある種の宝物のように感じられていたことを覚えている。丁重に扱って何回も繰り返し読み直した。

 

デルトラ・クエストI (1) 沈黙の森

デルトラ・クエストI (1) 沈黙の森

 

 

 

中学校時代の読書で一番記憶に残っているのは、有川浩『海の底』だ。記憶がかなり曖昧なのだが、確か中学二年生の夏休みだったと思う。宿題で読書感想文が出て、その一冊を選ぶために書店に行き、表紙が格好いいからという理由で『海の底』を購入した。

 

記憶している限りではそれはとても面白い本で、それまで作文というものが大嫌いだったにも関わらず、次から次へと書きたいことが溢れてきて、読書感想文はおおいに捗った。ここで僕は初めて、本そのものではなく作者の方にも興味が行き、有川浩の大ファンだという友達から何冊か借りて読んだりした。『塩の街』、『空の中』、『図書館戦争』シリーズなども一通り読んだと思う。現在の僕はとにかくSF小説が好きなのだけれど、もしかするとこのあたりの読書で、SFのその魅力に気づき始めていたのかもしれない。

 

海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

 

 

 

高校時代の読書で一番記憶に残っているのは、夏目漱石『坑夫』。そのころの僕はまずいことに、「大人で難しい昔の文学作品」を一種のファッションとして読み飾っているきらいがあって、今思い返しても少し恥ずかしく思う。夏目漱石の作品では他にも『吾輩は猫である』、『こころ』なども読んだ記憶があるのだけど、なぜかこの坑夫だけが強く印象に残っている。炭鉱、深い坑道という、いわば異世界に踏み込んでいくストーリーであるから、それがどこかSFチックに感じられたのかもしれない。「バイブル」である一冊に出会うまでは、高校生の僕はとにかくそんな感じだった。

 

坑夫 (新潮文庫)

坑夫 (新潮文庫)

 

 

 

確か高校三年生の夏休みだったと記憶している。大学受験が刻々と迫ってきているにもかかわらず、僕はネットでアニメを物色していた。そのときふと、新世界より、のタイトルが目にとまった。いつも通り僕はそれを惰性で視聴した。目が覚めるようだった。鳥肌も立った。一気に最後まで見てしまった。今まで見てきたアニメ作品とは比べ物にならない面白さがそこにはあった。いろいろと調べるうちに、僕はそのアニメの原作が小説であることを知り、さっそく高校の図書館へと足を運んだ。本棚をしばらく探していると、目的のそれはすぐに見つかった。「新世界より」と題された分厚い上下巻。家に帰ってすぐに読み始めた。もちろん一気読みだった。この読書体験こそが、僕の人生と、小説の価値観とを大きく変えた。いや、一変させた。

 

新世界より』に感じた面白さというのは、月並みな言葉になってしまうけれども、やはりその壮大な世界観だった。こんなにもリアルな、綿密な、まるで本当に存在しているかのような世界を、たった一人の人間が作り上げた。それも文字だけで。僕は作者に対して畏怖の念と、そして激しい嫉妬を抱いた。実をいうと、この『新世界より』を読む三か月くらい前、つまり高校三年の五月ごろ、小説執筆に挑戦していたのだった。そのときはあまりの難しさに挫折したのだが、『新世界より』を読んだせいで、僕はまた小説が書きたくなってしまった。

 

以上、僕はおおむねそのような人間です。今ではひと月でだいたい15冊くらい本を読んでいます。最近読んだ中で面白かったのは、筒井康隆『聖痕』、野崎まど『know』などでしょうか。読書のほとんどはSF小説です。今までに読んだSF小説の中でベスト3を選ぶとすれば、ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』、ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』、アーサー・C・クラーク幼年期の終り』の3冊です。『新世界より』は、僕にとって特別な一冊なので、順位は付けられないのです。

 

聖痕 (新潮文庫)

聖痕 (新潮文庫)

 

 

know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

小説執筆は続けていますが、なかなか完結させることができず、中途半端な駄作を20、いや30ばかり書いては諦め、新しい小説を執筆する。その繰り返し。完成させることによって小説家としての自信がつく、そんな言葉をどこかで聞いた覚えがありますが、僕の状況はそれとは真反対であり、悪循環に陥っています。その状況を打破すべく、今回ブログとツイッターを作り、自分の書く文章に自信を付けたいと思った次第です。どうぞよろしくお願いします。